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欧州最新情報「2月にバーやレストランを再開したばかりのイタリアだったが」 Posted on 2021/03/15 Design Stories  

この2月に、バー・レストラン、美術館などの制限が解除されたばかりのイタリアだったが、感染の再拡大がはじまり、再びロックダウンに見舞われることになった。
※実はフランスはこのイタリアに負けないか、それ以上に深刻な事態に見舞われており、多くのフランス人がイタリアの再ロックダウンを我がことのように、びくびくしながら見守っている状態でもある。

さて、イタリアのマリオ・ドラギ首相は3月12日(金)、コロナ第3波を食い止めるため、今日、15日(月)から再び国の大半をロックダウンすると発表した。
特に北部で厳しいロックダウンが行われ、他のほとんどの地域でも制限措置が強化される。
同首相は「この感染症が始まって1年以上が経ったが、残念ながら新たな感染症の波に直面している」と嘆いた。
イタリアの新規感染者は先週1週間で150,175件、前週の130,816件に比べ、約15%の増加となった。去年のロックダウンから一年、先週、イタリアは「コロナの死者が10万人を超えた」ことを発表したところだった。
ミラノを中心としたロンバルディア州で約3万人、エミリアロマーニャ州で約1万1千人、次いでピエモンテ州、ヴェネト州で約1万人が死亡している。



住民10万人に対する感染者数は250人を超え、実効再生数は1.14。
その結果、集中治療室の占有率など、医療現場は再び逼迫している。
ワクチン接種も進めているが、ワクチンの配送に遅れが出ており、イタリアでは人口6000万人に対し2回接種した人は180万人。(フランスは220万人)

一部専門家の間では、イタリアが2月上旬に措置を緩和したことが影響していると見ている。
近隣諸国が第3波を恐れて規制を強化する中、ローマでは午後6時までバーやレストランの営業を再開した。
「イエローゾーン」と呼ばれる地域(中度の健康リスクに相当)では、午後10時から午前5時までは外出禁止令が出ているものの、平日のみ美術館などが再開されていた。



ミラノのルイジ・サッコ病院の感染症部長は、LCIの取材に対し「明らかに制限が不十分な状況であった」と政府の判断を批判した。
しかし、一方で、この感染の拡大が制限の緩和だけに起因するとは考えにくいと指摘している専門家もいる。
なぜなら、今、最も厳しい状況にある地域が、2月にバーやレストラン、美術館が再開された地域とは必ずしも一致していないからだ。
それよりも、感染力が強いとされる英国変異株が新規感染者の大半を占めるようになったことが、この感染拡大が加速した要因と考えられている。



この状況をうけ、イタリアは感染の酷いレッドゾーン(人口10万人あたり週に250人以上の新規感染者を記録した地域)に対し3月15日から4月6日まで、小中高、大学の閉鎖、バーやレストランの閉鎖(持ち帰り販売はOK)、移動は仕事や基本的な生活必需品の購入、健康上の緊急事態に限定される厳しいロックダウンを導入した。

その他の地域「オレンジゾーン」では学校は開校しており、移動は自治体内のみ可能だが、レストランやバーは持ち帰り用の販売や配達を除いて閉鎖されている。
Le Point誌によると、サルデーニャ島だけがこれらの制限を免れているようで、「ホワイトゾーン」に分類された地域の住民は、マスク着用と社会的距離などを尊重しながら普通の生活を送ることができている。



イタリア人のほとんどが祝う4月3日から5日のイースター週末は、国全体が「赤」に分類されると予測されている。
カトリック教徒にとってイースターはクリスマスに次いで大切な行事であるが、この状況では家族が集まってお祝いをすることは難しいだろう。
マリオ・ドラギ首相は、「これらの措置が、子どもたちの教育、経済、そして私たちみんなの心理状態に影響を与えることは十分承知している。
しかし、さらに厳しい措置を取らざるを得なくなるほどの状況悪化を避けるために必要なこと」と語った。

欧州各国が果たしてイタリアに続く日が来るのか、この長く暗いトンネルをいつ抜けられるのか、戦々恐々とした日々が続く。(井)

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