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ロンドン最新情報「ワクチン接種レポート。接種トップ国でのドキドキ体験記」 Posted on 2021/04/21 Design Stories  

イギリスのマット・ハンコック保健大臣は19日、政府が「高リスク集団」と定めた50歳以上の人口のうち94%が、1回目の接種を済ませたと発表した。
「低リスク集団」の筆頭として、40代後半の筆者がワクチン接種を受けたのは、その翌日のことだ。

筆者の携帯には13日、NHS(国家保健サービス)のGP(かかりつけ医)からショートメッセージが届いていた。
「ワクチンは自分と家族、コミュニティーを守るのに役立ちます」と書かれ、予約サイトのリンクと電話番号が添えられている。
予約開始直後は一時アクセスできないほど混雑したと報道されたが、筆者の場合はすぐにサイトに繋がった。
NHS番号と生年月日を入力し、「インフルエンザワクチンを直近で接種したか、あるいは接種の予定があるか」という質問に「いいえ」と答えて、自宅の郵便番号を入力すると、近い順に会場の選択肢が提示される。
会場を選ぶと、翌朝以降の予約が可能で5分刻みで時間が表示される。
子どもの学校のイースター休みが明ける1週間後の朝に予約すると、自動的に2回目の予約画面に進んだ。
提示された7月上旬に同じ会場で予約した(12週間以内に2回の接種を受ける規定になっている)。
会場は、コロナ対策のために閉鎖されたままのレジャーセンターだ。
10分ほど早く着き、「5分以上時間がある人は会場に入らずお待ちください」と看板には書かれていたが、すぐに警備員の黒人のお兄さんに「予約があるならどうぞ」と言われた。
今は供給量の落ち込みや、特に接種意欲が高いとされる高齢者層の接種が一段落したことにより、接種会場が空いているのかもしれない。
 

ロンドン最新情報「ワクチン接種レポート。接種トップ国でのドキドキ体験記」

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入り口には「今日のワクチンはアストラゼネカ製です」と手書きされたイラスト入りホワイトボードが置いてある。
まるでカフェの日替わりメニューの看板のようだ。
中に入ると薄暗くがらんとした殺風景な体育館だ。ボランティアらしきおじいさんが、センサー式消毒液ディスペンサーを指差し「中身が出てくるかどうかわかりませんが、なんとかやってみてください」と不思議な指示をする。
手を出して前後させると1回分出てきた。
「ダメな人もいるんですよ。手を出すときでなく、こう引っ込めるときに出てくるんです」とのこと。緊張を解くためなのか、手を消毒してくださいとだけ言うのも退屈なので工夫しているのかはわからないが、この「無駄」なやりとりのおかげで、ちょっと和んだ。
15メートルほど奥に受付係2人が座っている。
「コロナウイルスの症状はありますか」と確かめ、名刺大のカードに予約番号と生年月日を書き込んでくれた。今度はいよいよ10個並んでいる接種ブースに案内された。
 

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イギリスでは人員確保のために、退職者や医療関係者以外のスタッフも研修を受けた上で接種を担当し、接種のペースを確保してきた。
筆者が案内されたブースでは、白衣を着たロングヘアの20代らしき女性2人組が迎えてくれた。
「医大生」風のひとりは特に若く、真剣な眼差しでラップトップの画面に向かっている。
もうひとりの「若い女医さん」風は茶色のセルロイド風の大きなメガネとマスク越しににっこり挨拶してくれた。
「医大生」が予約番号を入力し、名前と住所を確認。
さらに、新たに携帯番号を聞いて入力した。
「若い女医さん」がラミネート加工された質問表を見せてくれて、番号順に9つの質問に答えていく。直近のワクチン接種歴、アレルギー、妊娠しているか、最近検査でコロナ陽性結果が出たかなど。また、「あなたの人種は」という質問は口頭で聞かれた(人種別接種率のデータを集めるためだ。イギリスではコロナウイルスの感染率・死亡率も少数民族の方が高いため、この集団の接種を進めることが感染阻止の鍵を握るとされている)。
質疑応答が終わると、利き手を聞かれ、「では左腕にします。できるだけ力を抜いて」と言われた。
二の腕の真ん中に思い切ってブスッと刺すという感じで、痛さというより力を感じる。
すぐ終わり全く出血せず、針穴もわからない。
そして「注射をした人はこれがもらえます」と、「私はコロナの注射を受けました」と書かれたシールをくれた。
イギリスでは子どもが医師や歯科医の治療を受けるとごほうびにシールがもらえるが、自分がもらったのは初めてだ。
真っ先に接種を受け、「全然痛くなかった」というコメントを発表したエリザベス女王の後に続けということで、王冠の絵が添えられているのかもしれない。

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「2回目の予約はしていますか? ではそのときにまた会いましょう。良い一日を」と言ってもらって終わり。
今日の接種を記録したカード(「2回目の接種に必要なのでお財布に入れて保管しましょう」と書かれている)と、アストラゼネカ製カワクチンの説明書を渡されて会場を出た。
この間、10分足らずだった。
ワクチン説明書を見ると、「副作用の報告」と書かれた項目に下線が引かれている。
「イギリスの医薬品はすべて、安全のための最新情報を得るために、厳格に監視されています。あなたに起きるかもしれない副作用を報告することが役に立ちます」。
報告の方法としては、医師や薬剤師のほか、政府の「コロナウイルス・イエローカード」システムに直接報告することもできるとして、サイトのアドレスが書かれていた。(清)

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