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パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」 Posted on 2022/03/24 Design Stories  

 
ここ数日、パリでは気持ちの良い晴天が続いている。
最高気温は19度前後、うっかり冬物を着て外に出ると汗ばむほどの陽気となった。
冬のあいだは家にこもりがちだったパリジャン・パリジェンヌも、太陽を求めてカフェテラスや公園に集まっている。

春から初夏にかけて、パリの公園は日光浴を楽しむ人でいっぱいになる。
ランチを楽しんだり、読書をしたり、友人や恋人と談笑する姿が見られ、雰囲気は一気にパステルカラーとなった。
そしてパリで最も人気のある庭園のひとつ、右岸のパレ・ロワイヤルでは今、マグノリア(モクレン)が満開を迎えている。
 

パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」



 
パレ・ロワイヤルは、ルーブル美術館近くにある歴史的かつ控えめな穴場スポットだ。
ルイ14世が子供の頃に遊んだという庭園には、調和のとれた建築と広葉樹が立ち並ぶ。
規模こそ控えめなのだが、周囲の回廊は歴史の重みを感じさせる。
1780年に建てられたという回廊のカフェは、当時の思想家や芸術家たちのたまり場だったそうだ。
 

パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」

 
重厚感のある回廊と、牧歌的な庭園のコントラストも素晴らしい。
その存在感からパレ・ロワイヤルは数々の映画・ドラマの舞台となった。
季節によって印象が変わるのだが、今のパレ・ロワイヤルはマグノリアの甘い香りで満たされている。
マグノリアはフランスでもポピュラーな花木で、仏植物学者ピエール・マグノルにちなんで名づけられた。
 

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パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」

 
満開のマグノリアのもと、春を楽しむ人々。
その表情はとても明るい。
コロナ規制が緩和されたこともあって、2020年以前の賑やかなパリが戻ってきたようだ。
実は、パレ・ロワイヤルにはある秘密が二つ隠されている。
その小さくて素敵な秘密が、忙しいパリジャンたちの癒しとなっているのだ。
 

パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」

※「驚きは、老化を早めない確かな方法の一つ」シドニー=ガブリエル・コレット

 
一つは、ベンチ。
パリのトレードマークであるオリーブグリーン色のベンチには、フランスの偉人たちによる「詩」が刻まれている。
これは、20世紀を代表するフランスの女流作家コレットと、同じくマルチな才能を発揮した詩人ジャン・コクトーを称えて制作されたもの。
この二人がパレ・ロワイヤルに住んでいたことを皆の記憶に留め、そして活躍を称えるために提案された。
 



パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」

※「芸術は涙という武器を動かす」ジャン・コクトー

 
庭園内にはコレットやコクトー、その他詩人の一節が刻まれたベンチが28脚設置されている。
また一人掛けの椅子にはヘッドフォン挿入口が設置されており、座りながら詩の朗読を聴くことができるという。

そしてもう一つは、小さな小さな「大砲」の存在だ。
この大砲は1799年から1914年までのあいだ、パリに正午を知らせ続けた。
台座には、ラテン語で「幸せな時間だけを数える」という言葉が残されている。

粋なポエム・ベンチと台座の言葉、この二つが、パレ・ロワイヤルを少し特別なものにしているのではないかと思う。
 

パリ最新情報「満開のマグノリアの下で、パレ・ロワイヤル庭園に隠された秘密を見つける」

※写真左端にあるのがミニ大砲

 
パレ・ロワイヤルは別名「美しい言葉の庭(LE JARDIN DES BELLES LETTRES)」とも呼ばれている。
マグノリアの他にも水仙やライラックが咲き乱れ、今のパレ・ロワイヤルは天国のように優しい雰囲気に包まれている。(ル)
 

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