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パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」 Posted on 2021/12/08 Design Stories  

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

 
ちょっと特徴あるワインフェアが、2021年12月2日から5日の4日間、パリのポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場にて行われた。
小規模なワイン生産者団体が主催する「Salon des Vins des Vignerons Indépendants」は、畑の耕作からら収穫、醸造、瓶詰めまでを、みずから行う人たちのワインに出会える。
ワイン造りとは、ブドウを作るだけの人もいるし、買ってきたブドウで醸造する人、また、できたワインを瓶詰めするだけの人もいる。
ここに参加しているのは、例えばシンガーソングライターのように、自分で作詞作曲をして歌う人たちだ。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」



 
入場料を支払うと、試飲用のワイングラスが入場券代わりに渡される。
各ブースで、このグラスに少量注いでもらい試飲するのだ。
ひと口であっても、見終わる頃にはかなり酔いが回るので、すべてを飲み込まずに、口に含んで味を確認したら吐き出すことも必要。
それ専用のバケツが、各ブースの下に置かれている。
水分補給も忘れずに。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

 
そして、便利なのが「ポルト・ヴェール(porte verre)」と呼ばれる、首からワイングラスを下げるためのグッズだ。
これがあれば、両手が自由になり、グラスの置き忘れもなくなる。
コロナ禍において、グラスの取り間違いは避けたいもので、自分のグラスに目印をつけるグラスマーカーも、同時に販売されていた。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

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会場には700弱のワイン生産者が出店しており、予備知識がないと何を基準に回ったら良いのかがわからなくなる。
ワインに詳しくない筆者は、ワインクラブを主宰する知人が配布するオススメリストを頼りにした。
リストには30ほどの生産者が掲載されていたが、アルコール量的になんとか全部回れたというぐらいだ。
そういう知り合いがいなくとも、前年のコンクール受賞者の一覧が会場内に掲示されているので、その中から選んで行くという方法もある。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

 
ここから、気になった出店者を紹介したい。
まずはClos Triguedinaというワイナリーで、ワインを作っているジャン=ルックさん。
日本のレストランにも卸しているというので詳しく聞いたところ、偶然にも私にも馴染みのある店だった。
元々は私が通っていたフランス語の先生行きつけのビストロで、授業の後に楽しい時間を過ごしたものだ。
懐かしさで1本購入。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

 
時間を置くと、どのような味に変化していくのかを知るために、2002年のものも試飲させてくれた。
黄味を帯びた赤、タンニンが丸みを帯びて優しい味わいに。
今は、2017年から2020年の間に作られたワインが市場に出ているので、なにかの記念にあたる年であれば、今のうちに購入し、数年後に開けるという楽しみ方も。
その際は、長期熟成に向くワインかどうかの確認を。
 

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次は、Mas del Périéという醸造所で働くギヨームさん。
彼はワイナリーの広報用の写真撮影をしているカメラマンで、この夏の東京オリンピックにも、フランス選手団の専属カメラマンとして同行した。
そんな一流のカメラマンに依頼しているだけあり、ラベルのグラフィックがとても洗練されている。
ブドウ畑の周囲は、トウモロコシ、穀物、そしてトリュフが採れる肥沃な地域で、それらの良い影響を受けているという。
見た目だけではなく味も良いということは、パリで大人気のモダンビストロのバイヤーが横で買い付けていて、再確認。
真似して1本購入。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

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会場内には、ワインのお供になる食べ物も充実。
フォワグラのサンドイッチは、シンプルにフォワグラのみ挟まっていて約1000円から。
このサンドイッチを片手に歩いていたら、フォワグラの産地であるフランスの南西地方のワイナリーから「うちのワインはフォワグラに合うわよ!」と声がかかる。
そちらでも1本。
 

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たくさん買うとお得ということもあり、箱買いする人たちも多く、それを持って帰るための、ショッピングカートやハンドキャリーの販売も行われていた。
 

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敷居が高く思えたワインフェアだったが、直接、生産者たちと会話することで、自然と学んでいける交流の場だった。
月の満ち欠けを基準に作業をする日を決めたり、馬で耕したり、各々、小規模生産らしいコダワリを語ってくれた。
そんな話を聞いているうちに、気づけばカートには20本のボトルが入っていた。
買ったものを見返すと、ほとんどのワインがフランスの南のものだった。
たくさんのワインを一度に味わうことで、ワイン初心者でも自分の好みがわかるようになる。
 

パリ最新情報「ワイン初心者でも楽しめる!大規模ワインフェア「サロン・デュ・ヴァン」」

 
2021年はフランス全土が天候に恵まれず、ブドウが過去50年で最小の出来といわれた年だと聞いた。
今年作られたワインが市場に出回るのは来年以降だが、生産者たちの情熱に触れ、どれも味わい深いものに仕上がっているのではないかと期待される。
コロナ禍に加えて、試練が続くワイン業界だが、ワインを飲んで応援したい!(ウ)
 

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