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パリ最新情報「フランス、再利用可能な生理用品を無償に。25歳以下の女性が対象、2024年から」 Posted on 2023/03/08 Design Stories  

 
フランスのエリザベット・ボルヌ首相は6日(月)、25歳以下の女性を対象に生理用品を無償化することを発表した。
対象となる生理用品は、月経用ショーツ、繰り返し使用できるタンポン、月経カップなど再利用可能なものに限り、開始は2024年から。
これによって25歳以下の女性は購入時に「保険適用」とみなされ、後に支払い分が全額返金となる。
また購入は薬局に限り、保険証の提示が必要だが処方箋は必要としない。
 

パリ最新情報「フランス、再利用可能な生理用品を無償に。25歳以下の女性が対象、2024年から」



 
フランスでは現在、約400万人の女性が生理用品購入に「金銭的サポートが必要」と考えており、その数は2021年の2倍近くに増加しているという。
そのためボルヌ首相も発表時に、「食費を節約するか、生理用品を買うか。そんな選択を迫られる若い女性がいることを、私たちの社会は受け入れられません」と述べている。

ただこうした生理用品の援助は、フランスで少しずつ始まっていた。
例えば仏政府は20年末、ホームレス女性や刑務所にいる女性を対象に、生理用品を無償化することを発表している。
さらに21年2月には、大学寮、大学の健康課で生理用品の無償配布機1500台の設置が進められた。(こちらも環境に優しい製品とbio製品であった。)
 

パリ最新情報「フランス、再利用可能な生理用品を無償に。25歳以下の女性が対象、2024年から」

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今回の発表後では、フランス国民、特に女性から大きな反響が得られている。
中には「これを機に月経カップの良さを知ってほしい」「生理用品にもエコ意識が広まるのは良いこと」と肯定的なものから、「マクロン政権が若い世代に優しいのは良いけど、25歳以上にも月経があるのだから、インフレ対策として全ての女性に適用してほしい」など昨今の社会情勢を揶揄する声もあった。
※マクロン大統領は22年1月からピルや避妊リングなどを、25歳以下の女性を対象に無償化している。また今年初めからは18歳〜25歳を対象に薬局でコンドームを無料配布。
 

パリ最新情報「フランス、再利用可能な生理用品を無償に。25歳以下の女性が対象、2024年から」



 
フランスの政策がここに至るまでには、各地で地方自治体や学生たちによって、生理の貧困撲滅キャンペーンや、生理用品の無償配布会が2015年より進められてきたことが背景にあった。
国の発表は、こうした国民からの突き上げが功を奏したものだと考えられる。

生理用品のみならず、学生の貧困は学業に差し支える。
痛みを和らげる鎮痛薬や貧血予防のための鉄分サプリなども、場合によっては購入しなければならない。
フランスの首相が女性になったことで、このような理解が深まったのは想像に難くないのだが、一方で「生理の貧困は学業や健康に影響を与え、長期的には国民の平等を脅かす」という認識もフランス男性政治家の間で広まりつつある。

また仏政府は数々の対策にスコットランドを引き合いに出している。
これは、スコットランド政府が生理用品のサポートに対して先駆けであったことと、2022年8月15日からすべての女性に生理用品が無料で提供されるようになったことが大きい。
全女性への無償化とはかなり有難いことだが、ボルヌ首相もそれに続く意志があるのかどうか、現状ではまだ明らかにされていない。(内)
 

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