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パリ最新情報「フランスの朝食の新たな顔、アイスランド生まれの『Skyr(スキール)』」 Posted on 2023/04/23 Design Stories  

 
フランスの朝食と言えば、クロワッサンやタルティーヌが真っ先に思い浮かぶ。
特にタルティーヌは毎朝食べているという人も多く、その習慣を長年続けるフランス人は決して少なくない。
※タルティーヌ…スライスしたトーストやバゲットにバター・ジャムをのせてカフェオレに浸して食べる。クロワッサンが週末などの特別な朝食であるのに対し、タルティーヌはかなり一般的なフランスの朝ご飯。
 

パリ最新情報「フランスの朝食の新たな顔、アイスランド生まれの『Skyr(スキール)』」



 
しかしフランスの朝食は炭水化物・糖質が多く、タンパク質がほとんどないことが国内でもたびたび疑問視されていた。
ここ数年ではコロナ禍以降の健康志向も影響したのか、今までの朝食を見直すという人も現れ始めている。
ではフランスの朝食の「新たな顔」になりつつある食品とは何か。
それは、アイスランド生まれの乳製品「Skyr(スキール)」である。
 

パリ最新情報「フランスの朝食の新たな顔、アイスランド生まれの『Skyr(スキール)』」

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仏メディア20 minutesは今年3月、「スキールは近年、フランスの乳製品やデザートの棚を制覇しています」と報道した。
理由はヨーグルトと比べ、高タンパク・低脂肪であることが、健康系インフルエンサーとスポーツインストラクターの間で話題になりSNSで広がったためなのだとか。
また同メディアは「アイスランドでは1000年も前から親しまれてきた食品だが、フランスでは2年足らずのうちにあっという間に浸透した」とも述べている。
 

パリ最新情報「フランスの朝食の新たな顔、アイスランド生まれの『Skyr(スキール)』」

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スキールとはアイスランド地方でヴァイキングの時代から食べられていた乳製品である。
見た目はヨーグルトに近いが正しくはチーズの仲間。
味はギリシャヨーグルトにも似ていて酸味があり、こってりとした質感、かつ少量でも満腹感が得られるのが特徴だ。
フランスではシリアルに混ぜたりフルーツを添えたりして、朝食やおやつ代わりに食されているという。
ベジタリアンに不足しがちなタンパク源としても重宝されているそうだ。

日本では食の健康指導が入る時、「海藻や大豆を積極的に取ること」などと言われる。
ところがフランスのクリニックで勧められるのは、「少なくとも一日2回は乳製品を摂取するように。」である。
ということでフランスのスーパーには普段からヨーグルト、フロマージュ・ブラン(ヨーグルトのようなフレッシュチーズ)がずらりと並んでいる。
 

パリ最新情報「フランスの朝食の新たな顔、アイスランド生まれの『Skyr(スキール)』」



 
乳製品を積極的に摂取するフランスにおいては、スキールはすんなりと受け入れられたようだ。
ただスキールの成功には他にも理由があって、「ニュートラルで軽い味」が現代フランスの食のトレンドにぴたりと合致しているのだという。
仏ブランド・コンサルティングKaos社の代表、ピエール・ルイ・デプレ氏は、「フランス人の好みは味に特徴がなく、口の中で主張しすぎない、強すぎない製品に向かっている」と20 minutesのインタビューで述べた。
つまり製品化された時点では強い味付けがされておらず、フレーバーを自宅でカスタマイズできるものがより好まれているのだそうだ。
またデプレ氏は、「フランスでは今まで地中海料理が健康に良いとされてきたが、北欧の乳製品がこうも流行しているのは非常に興味深い現象だ。世界の料理への関心、バラエティへの欲求、新しい国や新しい感覚を発見したいという現代フランス人の好奇心がよく現れている」と述べた。
ただし何でも食べ過ぎは禁物で、医療従事者のアドバイスに代わるものではないため、スキールも適度な量が好ましいだろう、と同氏は付け加えている。(チ)
 

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