欧州最新情報

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」 Posted on 2022/09/07 Design Stories  

 
ここ数年で、美食の街パリのイメージは大きく変わった。
クラシックなフランス料理もさることながら、多様性の波に乗った世界各国のグルメが、次々と登場しているのだ。
食文化においては新旧融合が目立っており、その「新」を担っているものの一つにストリートフードがある。
今、パリではフードトラックをあちこちで見かけるようになった。
高級ガストロノミーを経営する一流シェフが、「新たにストリートフード店をオープン!」といった話も耳にするほどだ。
 

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」



 
パリ市は9月初めの週末、そんなストリートグルメの祭典を主催した。
これはパリ市とフランスのストリートフード・アン・ムーヴメント協会との共同開催で、2年ぶり三度目となる。
場所はパリ市庁舎前広場。
五輪のマークが象徴的な市役所前に、3日間で約4,500人もの人が集まった。
 

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」

 
このイベントは、パリにおけるストリートフードの多様性をアピールする狙いがあるほか、テーマを「料理にまつわるエコ」とし、使い捨てプラスチックの削減を大きく呼びかけるものだった。
そのためプラスチック容器の使用は一切禁止。
合計20のフードトラックにはすべて紙製の皿とカトラリーが用意されていた。
またゴミ捨てに関する啓蒙活動も合わせて実施された。
イベントでは日曜日でも市の清掃員が導入され、正しい位置に捨てるようにと指導する。
ゴミを定位置に捨てるのは当たり前ではあるものの、パリでは残念ながら指定の場所に捨てない人が多い。
しかし清掃員の方々が声をかけることにより、来客同士でもゴミ捨てに関する呼びかけが広がっていたのが印象的だった。

さらにパリ市役所は、「ゴミを出さないために、ご自身の容器をお持ちください」と事前に市のホームページで告知していた。
これはゴミの削減だけでなくフードロス対策にも繋がるため、非常に良案であったと言える。
 

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」

地球カレッジ



 
さて登場したのは、20のフードトラックが展開する世界各国のストリートフードだ。
レバノンのファラフェルサンド、ドイツのプレッツェルサンド、ハンバーガー、フィッシュ&チップスなどがあり、パリでも大人気のメニューが並ぶ。
中にはアフリカ料理やハイチ料理などもあり、人気の屋台では待ち時間が数十分となったところもあった。
 

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」

※アフリカ料理「SANGA」。海老のスパイシー炒め、焼きバナナ、ライスの丼ぶりスタイル

 
アフリカ料理は、フランスでもポピュラーなテイクアウト料理の一つである。
最近ではフランス×アフリカ、日本×アフリカなどのフュージョン料理も生まれており、首都パリに集まるアフリカ系の料理人たちが腕を振るう。

私もタッパを持参していたのだが、こちらはサイズが合わず断念。
しかしパリのテイクアウトは量が多いため、食べきれなかった分を持ち帰るのには丁度良かった。
 



パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」

 
アジア勢から唯一参加したのは、台湾名物「バオ」のフードトラックだった。
柔らかい中華まんに具を挟んだバオは今、パリで熱狂的な人気を博している。
とろけるようにおいしい豚の角煮を真っ白なパンと一緒に、というのはフランス人にとって目新しい。
パリ・オペラ地区にあるバオショップではヴィーガンメニューなどもあり、若いパリジェンヌの間で話題になっている。
 

パリ最新情報「食欲の秋にふさわしいストリートグルメの祭典、パリ市が開催」

※こちらはチキンのバオ。ポテト、ドリンクとセットで12ユーロ(約1680円)

 
ストリートフードは数年前から続く、パリのトレンドである。
通常、屋台付近ではゴミが目立ってしまうが、それにも配慮した大変にパリらしい試みだった。(セ)
 

自分流×帝京大学