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パリ最新情報「コロナ第8波の臨戦態勢に入るフランス。全く新しい変異株が登場する可能性も」 Posted on 2022/09/05 Design Stories  

 
9月4日、フランスにおけるコロナ新規感染者数は12,894人であった。
しかし、この数字は決して安堵できるものではない。
新年度が始まる前の8月22日から28日にかけて、フランスでの感染者数は、ほぼすべての地域で7週連続の減少を記録していた。
人口10万人あたりの感染例は181人となり、これは2021年11月以来の低水準だった。
ところが新学期が始まってから指摘されているのは、10歳未満の子どもの感染率がにわかに上昇していることである。
病院の状況に関しても陰りが見え始めた。
フランスでは新規入院患者数は依然として減少しているが(前週比-24%)、重症患者においては減少率が鈍化しているという(前週比-9%)。
 

パリ最新情報「コロナ第8波の臨戦態勢に入るフランス。全く新しい変異株が登場する可能性も」



 
これはフランスにおける第8波の到来を示唆するものだ。
実際、フランソワ・ブラウン仏保健相や諸専門家は、「第8波はこの秋に確実にやってくる」と数週間前から指摘していた。
若年層の間で流行の動きがあること、バカンス明けに関連した多くの社会活動が再開されることからも、フランス衛生局は現在、手洗いやマスク着用を強く推奨している。

なお今秋に流行が予想されているのは、新株BA.2.75型(別名ケンタウルス)である。
今後はBA.5系統に置き換わると言われており、フランス国内では8月末の時点ですでに十数例の感染が確認された。
この動きはフランスだけではなく、ヨーロッパ各国でも注視されている。
またイタリアのガレアッツィ研究所ファブリツィオ・プレグリサコ氏はこれを、「前回のワクチン接種から8カ月以上経っている人は、新しい変異株であれば高い確率で感染する」と指摘する。
よってフランスでは、感染者数や感染スピードの急激な増加が懸念されている。
 

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パリ最新情報「コロナ第8波の臨戦態勢に入るフランス。全く新しい変異株が登場する可能性も」

 
さらに気になるのは、欧州医薬庁(EMA)が新型コロナウイルスの全く新しい変異株が今冬に出現する可能性があると警告したことだ。
これは9月2日、EMA予防接種戦略の責任者であるマルコ・カバレリ氏が記者会見で述べたもの。
同氏によれば今後数ヶ月の間に、「予想もつかない」新たな変異型が出現する可能性があるとのことだ。
ただEMAは、既存のワクチンは有効であり続けるはずだとも指摘する。
感染予防効果は(新変異株に対して)高くないとはいえ「重症化や死亡を防ぐことはできる」として、EU加盟27か国に追加接種の準備を呼びかけた。
 



 
フランスでは前回のワクチン接種から時間が経過している人が多い。
そのため仏保健相フランソワ・ブラウン氏は先週、「秋には再び国内でワクチン接種キャンペーンが再開されるだろう」と仏紙Midi Libreのインタビュー内で述べている。
BA.2.75型を中心とした第8波、そして今年冬に予想される未知の変異株に戦々恐々とするフランス。
これらの情報は今、夏の間に気が緩んだ人々に向けて大きく報道されている。(内)
 

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