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パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」 Posted on 2022/04/13 Design Stories  

 
三寒四温を繰り返していた気候もようやく落ち着き、パリでは今週初めから晴れやかな天気が続いている。
日没時間も20時半頃となり、太陽を存分に満喫できる季節となった。
カフェのテラス席などはどこも満席に近く、コロナ前のような活気を取り戻している。

日本では桜前線が北上中だが、パリで満開を迎えているのは八重桜。
郊外の公園ではフランス語としてもすっかり定着した「hanami(花見)」を楽しもうと、多くの人が集まるようになった。
そしてそんな桜に負けじと咲き始めた花がある。
淡紫の衣をまとった藤が、暖かい太陽とともに近頃のパリを彩るようになった。
 

パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」



 
3月に少し気温が上がったパリでは、例年より早めに藤が開花した。
藤はフランス語でglycine(グリシーヌ)と呼ばれ、こちらでも多くの人に愛されている。
日本と少し違うのは、藤棚ではなく家の軒先に咲くところだろうか。
外壁、柵、囲いに這うように藤の枝が絡まっており、「歓迎」という花言葉もぴったりだ。

ただその存在はわりと控えめで、パリではカフェや住宅街の一角に咲いている。
散策途中でサプライズのように藤が現れるため、偶然通りかかった癒しカラーを前に、思わず立ち止まるパリジェンヌの姿も見られる。
 

パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」

 
南仏のイエール、中央フランスのブールジュなども藤の名所として有名で、この時期は石造りの家と藤がセットになった美しい風景を鑑賞することができる。
カフェではエントランスに咲くところもあり、テラス席に座ればちょっと贅沢な気分に。
実はパリにもそんなカフェが存在していて、シテ島にある「Au Vieux Paris d’Arcole」は今、小さな藤の名所となっている。
 

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パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」

 
ノートルダム寺院近くにあるこのカフェでは、テーブルと椅子もパープルに揃えられていてなんともフォトジェニック。
日当たりも良く、藤が2階の方まで嬉しそうに伸びている。
パリには外壁のデコレーションとして花を飾るカフェがいくつかあるが、その多くは造花によるもの。
しかしAu Vieux Paris d’Arcoleでは本物の藤が植えられており、季節を肌で感じることができる数少ないカフェのひとつだ。
 

パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」

※昼と夜で雰囲気がガラリと変わるAu Vieux Paris d’Arcole。



 
桜とバトンタッチするかのように咲き始める藤は、こうしてフランスの人々にも愛されている。
鑑賞するものなのでプレゼントすることはできないが、他のお花には贈る時に気を付けるべきルールが存在する。

フランスでは、10本以下の切り花を贈る場合、メインの花の本数は必ず奇数にしなければならない。
というのも、偶数の花束は「死者へ手向けるお花」とされているため。
お葬式や墓地に供える花束なので、偶数の花束は敬遠されるとのことだ。
また、ブーケが左右非対称にならないようにするため、ブーケが一人分であることを明確にするため、そして花屋で買ったことを証明するためにも奇数が好まれているという。

ということで、贈る本数にも興味深いメッセージが隠されている。
例えばバラ1本なら「一目惚れ」、3本なら「ジュテーム」の告白と段階を踏んでいき、プロポーズだけは例外的に12本(1ダース)となる。
101本となれば「永遠の愛」を表すため、結婚記念日などに贈られることもあるようだ。
 

パリ最新情報「淡紫に染まるパリ、藤が季節を迎える」



 
お花は性別関係なく、見ても贈っても気分が上がる。
去年まではロックダウン中に歯を食いしばりながら見ていた藤も、今年からやっと自由に愛でることができるようになった。
藤が咲いてやっと春本番となったパリ、5月までしばらくはこのパステルカラーを楽しめそうだ。(ル)
 

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