JINSEI STORIES

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」 Posted on 2021/04/15 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、フランス人って、とにかく、食事の〆は甘いものが必要なのである。
渡仏間もないころ、どこに招かれても、誰かと食事に行っても、みんな必ずデザートを食べていて、これこそがフランス人のスタイルなんだ、と思ったものだ。
あれから20年近く経つけど、デザートを食べないフランス人にはやはりめったに会わない。
だから、同時にケーキ屋とかチョコレート屋の多いこと。
どこのパン屋にもだいたいケーキコーナーがある。
つまり、フランス人にとって、ケーキは必需品なのである。
ロックダウンの最中であろうと、必需品店舗の営業は認められているフランス。当然、ケーキ屋は閉まらなかった。
逆を言えば、ケーキ屋が閉まっていたら、暴動が起きたかもしれない。笑。
ま、それは大げさだけど、いや、だからこそ、マジで、フランス人のケーキへそそぐ情熱はすさまじいのだ。
それは在仏20年選手のぼくにも少なからず、影響を与えている。



コロナ禍だから、外食が出来なくなり、ほぼ自炊の日々にあり、ぼくの唯一の楽しみはケーキ屋さん巡りなのである。
ブティックとかデパートは閉店中だけど、ケーキ屋はパリ全域で絶賛営業中なのだから、多少遠方でも美味しいケーキがある、と聞けば散歩がてら、歩いて買いに行く。
健康的だし、わくわくするし、で、美味しいし。
そこで、今日は、最近、食べたケーキの中で、印象に残ったケーキをご紹介したい。
それにしても、いやはや、よく、食べたものだ。
ロックダウンなパリでの生活、多少の贅沢、お許し頂きたい。

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

こちらは、アンジェリーナの新作、「モンソー」
生リクーム、キャラメル、チョコレートのバランスが絶妙です。

地球カレッジ

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

パリ最古のパティスリー、ストレーの「ババオーラム」1730年創業。ここのエクレアもかなり、おいしい。



退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

同じく、ここのフォレノワール。

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

これはね、笑、スーパーモノプリのパン屋で売ってる、クロワッサンなんだけど、やばいでしょ?

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

大好き、ユーゴ・エ・ビクトールの焼き菓子たち。



ということで、ぼくが今、パリで必ず足を向ける日本人ショコラティエのケーキ屋がある。地球カレッジにもご登壇頂いたが、レトロワ・ショコラという右岸マレ地区のケーキ屋さんだ。
ぼくの家からだとちょっと遠いのだけど、それでも買いに行く。
ここの「フォレノワール」が本当においしい。
フォレノワールといえばパン屋とかでも買えるいわゆる庶民的なフランス定番ケーキなのだけど、日本だと大福饅頭みたいな位置、しかし、ここのフォレノワールは全く別物。
薄いチョコレートの筒型の中には濃厚なチョコレートのガナッシュが、その中心に、グリオットのコンポート、キャラメルソースとグリオットのソースが入っているのだ!!!!
フォークが積もった雪に刺さるような感じで入る驚きと、底に敷き詰められたサブレのサクサク感、チョコクリームとのくちどけの妙、うーん、よそではなかなか味わえない美味さであった。
こういう新しい店を探し歩くのも、今はぼくの小さな生き甲斐なのである。えへへ。

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

これが、レトロワショコラのフォレノワール!!!

退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

左がパティシエの翔君、真ん中が、オーナー・ショコラティエのエミコさん! ちょっと辻さん、これ持って、と言われて記念撮影。持って???? 持たされてカメラにおさまる、いい人、ただの。笑。



退屈日記「げんきになるためのパリ・ケーキライフ」

※おまけ、こちらは辻家定番自慢の、なんちゃってショートケーキ。スポンジが命。

自分流×帝京大学