JINSEI STORIES

滞仏日記「ついに、父ちゃん版『荒城の月』が世界配信された。衝撃映像はこちら」 Posted on 2022/03/19 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日、19日はフランスエレクトロの草分け的存在であり、グラミー賞アーティストDeepForestと父ちゃんの共作「荒城の月」が世界の音楽プラットホームから配信される。(日本時間なのか、フランス時間での配信なのか聞き忘れた)
ともかく、完全版の動画「荒城の月」も出来たので、YouTubeから配信となった。
まずは、YouTube版の「荒城の月」を御覧頂きたい。
こちらの、URLをクリックください。

https://youtu.be/ErKIHiP3Dvc

滞仏日記「ついに、父ちゃん版『荒城の月』が世界配信された。衝撃映像はこちら」



DeepForestのエリックさんにこの曲を推薦した。
彼が瀧廉太郎の美しいメロディが気に入りレコーディングになったのだけど、実はぼくはメロディだけじゃなく、詩人・土井晩翠が書いた歌詞も気に入っている。
とくに四番の歌詞が好きだ。DeepForest版の「荒城の月」は一番と四番だけを収録した。そもそも、インプロヴィゼーションで録音されたものだから、つまり一発録りのセッションなので、ぼくらは何の取り決めもなく、せーの、でレコーディングした。
なので、サイズの問題もあり、ぼくは自分が好きな一番と四番だけを歌った。
日本語のわからない、エリックがぼくが歌い終わると、「物悲しくも美しい、儚い世界だ」と告げた。
なぜか、このサイズ感が、しっくりとくる。



四番はどういう歌詞かというと、
「月光は今も昔も変わらないが、無常の世、時代と共に、栄枯盛衰、世界は移り変わっていく。繁栄が失せたあの城を照らす月光は、こうやって、世の中の移り変わりを伝えようとしている」
という仏教的世界観になる。諸行無常、世のはかなさを歌っている。
ぼくらがレコーディングしたのは1月の17日だった。
まだ、ロシアがウクライナに侵攻する前のことである。
でも、荒廃したウクライナの領土の映像を見ると、このメロディが自然に頭に浮かんでくる。
あの美しい国、ウクライナが、近代兵器で今もこの瞬間も破壊され続けているのだ。
その人間の仕業を、天の月は見降ろしている。
今日、御覧頂きたい、三四郎と散歩に出た時に撮影したこの満月がウクライナでも見ることが出来る。
それは、荒城の月、であろう。

滞仏日記「ついに、父ちゃん版『荒城の月』が世界配信された。衝撃映像はこちら」



CDの時代しか知らないので、この音源がどこで聞けるのか、ぼくにはわからない。
全部、DeepForest側にお任せしたのだ。
プラットホームに関してはよくわからないが、以下のようなところから配信された。そして、リストにあるような世界中で視聴が可能なようである。
実はぼくはこの手のプラットホームのIDを持ってなくて、DeepForestのレーベル預かりとなった。なので、DeepForestで検索しないと見つからないかも・・・。わからない。
ともかく、ここでも時代は移り変わっている。
儚い世界の片隅で、聞いていただきたい。

つづく。

滞仏日記「ついに、父ちゃん版『荒城の月』が世界配信された。衝撃映像はこちら」

※ 視聴できる国々。

滞仏日記「ついに、父ちゃん版『荒城の月』が世界配信された。衝撃映像はこちら」

※世界中の音楽プラットホームから視聴可能である。

地球カレッジ



自分流×帝京大学