JINSEI STORIES

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」 Posted on 2023/01/10 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、まずは、いきなりパンコントマテのスペイン風作り方を! 笑。
まず、お好きなバゲットなどをカリカリに焼き、ニンニクを半分にカットし、その断面を焼きあがったパンに塗りつけ、そこにみじん切りにしたトマトを載せ、フラードセル少々とオリーブオイルを垂らして食べる。これ、ここのホテルの朝食でみんながやっていたので、真似したのだけど、あまりに簡単で、意外に美味しかったのでやってみて。(正直、ホテルの朝食が充実していたので、あとはタパスで十分でした)
※、改めて、写真で解説をしますね。

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」



それにしても、いろいろな人たちとすれ違い、いろいろと美味しいものを食べ、いろいろな道を歩いた充実のサンセバスチャンの旅であった。
で、ちょっと驚いたことがあったのだ。
デザインストーリーズで時々、音楽にまつわる記事を書いてくださる、中村さんという音楽プロデューサーさんがいる。その方から、いきなり、記事が届いて、読んでびっくり。
ぼくは知らなかったのである。
本当に知らずに、サンセバスチャンに行き、ボレロを演奏したのである。
もちろん、モーリス・ラヴェルがフランス人だということは知っていたが、サンジャンドリュズで暮らしていたことも、そこでボレロが作曲されたことも知らなかった。
なのに、ぼくはサンセバスチャンに入る前にサンジャンドリュズに立ち寄り、ラヴェルが泳いでいた海を三四郎と見たのだ。その頭の中では「ボレロ」が鳴り響いていた。
実は、旅に出る前、ずっと部屋でボレロを練習していたのである。
それで、ぼくはサンセバスチャンに移動し、そこで、ギターを買い、翌日、浜辺で「ボレロ」を演奏してインスタにあげたのだった。
なんと、ドラマチックな出来事であろう。☜なんでも、前向きに考えてしまう父ちゃんなのだった。
あはは。
こちらが、中村さんが書かれたモーリス・ラヴェルについての最新記事である。こちらのURLをクリックください。

https://www.designstoriesinc.com/panorama/musique_voyage/

いやあ、こんなことがあるんだね。
この中村さんの記事、何度読み返してもひたすら鳥肌が立つのであった。
偶然がここまで続くと、ちょっと怖いが、ラアヴェル先生、ぼくはオランピア劇場で「ボレロ」を演奏してもよろしいのでしょうか????

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

※ 赤いワインをソーダで割ったちょっと甘い飲み物があった。フランスにはないよね?



ということでもう少し、のんびりと滞在しておきたかったが、なんと、10日に新連載を含む、締め切りエッセイが3本あったことが判明した父ちゃんなのであった。
とりあえず、ギリギリまでサンセバスチャンを堪能してから、ぼくらは一路、フランスを目指すことに・・・。
サンセバスチャンから、ボルドーに戻り、そこから海沿いの道に入って、ラ・ロッシェルを目指すのだけれど、いやはや、これがまたまた延々と長い。どこまでもまっすぐ道なのである。
途中、青いシュコダに乗ったやつに、こちらは制限速度(時速130キロ)で走っていたというのに、パッシングされたのだ。三車線の真ん中を走っていた。
追い越したければその隣の車線が追い越し車線、右に追い抜き車線もある。しかも、あおり運転も甚だしい。バックミラーを覗くと、どけどけ、と王様のように手を振っている。もの凄い勢いでかなり危険な感じで接近してくるので、クラクションを鳴らし、さすがに、かちんときた父ちゃん。横に並んだ時に、窓越しに睨みつけ、ABUNE-DARO KOnoYARO-、と日本語で怒鳴ってやったら、今度は猛スピードで走り去っていきやがった。
いやはや、どこの国にもいるね、こういう変な人間。
三四郎が助手席で、心配そうな目で見ている。大丈夫だよ。アホは相手にしないから。
この長旅の最中、ぼくの横を時速オーバーで走り去っていった車が数台いて、見事にフラッシュを炊かれていた。急いでもゆっくりでも目的地には着く。でも、罰金までついてくる場合もある。急がば回れが運転の基本なのだ。人生と一緒やね。
我らは帰路についたが、それは新たな人生の岐路でもあった。どの道を選ぼうか、わが友、三四郎よ。

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

※ ラ・ロッシェルに到着!!!

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」



夕方、まだ太陽がある時間、ギリギリに、ラ・ロッシェルに到着したので、港の傍のホテルにチェックイン。
明日の朝には出発するので、久しぶりのラ・ロッシェルを歩いてみたくて、三四郎と散歩に出た。
目的は、さんちゃんのピッピとポッポ(おしっことうんち)であーる。
どこにいようと、どこを旅していようと、どこを移動していようと、必ず、一日、4回は散歩に連れ出し、運動、そして、健康的な排泄をさせるのが親の仕事なのであった。
さんちゃんがきれいなうんちをしてくれると父ちゃん、嬉しいのであーる。
「よく、出たね。おっきいうんちだね。健康でうれしいなぁ」

滞仏日記「アディオス! スペインの皆さん、またいつか。我らは岐路に」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
あと、昨日、気が付いたことですが、(☜今かい!)さんちゃんと父ちゃん、同じ部屋で寝ているんですね、旅の間、ずっと・・・。
普段はぜったい、寝室にはいれません。だから、さんちゃん、嬉しいみたい。もちろん、ベッドには上がらせないのですが、ラ・ロッシェルのホテル、ベッドが二つ、あるんですねー。
「さんちゃん、ベッドが二つあるけど、君はソファで寝ようかね。もしかすると、ホテルの人に怒られるかもしれないから」
※なんでダブルのベッドが二つ??? オフシーズンだから広い部屋にしてくれたんかな。犬料金払ったから、ベッドで寝てもいいのかな? まさかね。
でも、ベッドにあげてやると、「あ、寝てもいいんだ」と思うから、ぼくは絶対、ベッドにあがっていいとは言わないのです。
ちゃんと、さんちゃんの寝床を持参した旅なので、さんちゃんはぼくの横の一人掛け用ソファの上に寝床をセット。そこで寝てもらいます。躾けは大事ですからね。
それに、さんちゃん、自分の匂いのついた寝床が大好きなのだから。同じ部屋で眠れるので、安心、だもんね。

それから、1月29日の父ちゃんの文章教室、心機一転ではなく、相変わらず、こつこつと文章の磨き方、文章を自分のものにしていくための推敲、書き方などを学んでいく勉強会となります。
「エッセイの書き方教室、2023年度、第1回」。
課題応募されたエッセイの中から選ばれた数本のエッセイを、辻仁成が細かく指導、推敲、研磨していきながら、文章上達の仕方を学んでいきましょう。
「エッセイ依頼内容」
今年最初の課題は、また一から、食にまつわるエッセイとなります。
「お子さんやパートナー、家族、同居人に日々作る、作ってもらっている、頂いている、ごはん。外食も含め」について、その人生の深部、喜怒哀楽を書いてください。題して、「日々のごはん」です。字数は1000字前後、1500字以内、とします。締め切りは1月22日とさせていただきます。
詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

それから、2023年5月29日にパリのミュージックホール、オランピア劇場で単独ライブやります。
5月29日のオランピア劇場ライブの翌日に、JALパックさんが企画をし、ぼくがよく知るレストランで、せっかくだからランチ会をやることになりました。ぼくも顔を出し、トークをやる予定ですので、せっかくパリに来られる皆さま、よろしければ、どうぞ、ご参加ください。JALパックさんに相談をすれば、モンサンミッシェルなどのツアーも・・・。この機会に、ぜひ。
詳しくは、こちらのURLをクリックください。

5月30日 辻仁成 オランピア公演記念 『感謝!Merci!』 トーク&ランチ会 《追加設定》



続いて、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」はこちらです。無料でも聞けます。ってか、ほとんど無料に近いですので、思う存分楽しんでください。音楽が危機的な状況ですけど、ミュージシャンたちは頑張っています。


https://linkco.re/2beHy0ru