PANORAMA STORIES
父ちゃんの普段着飯、「有頭海老のパスタ」 Posted on 2026/07/08 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
海老なんですけれど、海老のパスタって、美味しいじゃないですか?
イタリアとかで食べるとめっちゃ美味しいんですけれど、海老の身だけで作ると、いまいち、美味しくないんですよ。だから、
必ず、有頭海老を買って、作ってください。
そうすると、本場の味になります。
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今日は海老のパスタの極意を教えさせていただきたい、と思います。笑。
いいですか、海老の一番海老らしく美味くて広がりのある部位というのは、香りを持っている頭部、まさに海老味噌なんです。
有頭海老といいますね。
フランスでも茹でた海老が売られていますが、フランス人も、頭をみんな捨てちゃうんですよね、一番美味い中身を捨てているようなものです。もったいない。
☆
材料、2人分
お好きなパスタ、200g、にんにく1片、玉ねぎ半個、唐辛子1本、海老300g、トマトペースト大さじ1、あればプチトマト10個くらいで、白ワイン100ml、水100ml、生クリーム50ml、塩こしょう、オリーブオイル適宜、レモン4分の1個
で、日本は茹で海老ってあんまり売ってないから、この間、日本で、友だちの家に呼ばれた時は、わざわざ魚屋で有頭の生エビを買って持って行き、作ってさしあげました。フランスだと、冷凍のものがあったりしますね。
ま、有頭海老を探すのがまずは、大事です。
生の海老を使う場合、まず、頭をもぎ取り、身の部分だけ茹でる。
茹で方は、沸騰したお湯に塩をたっぷり目に入れ、エビを投入するだけ。
1分ほど茹でたら火を止めてそのまま冷まします。お湯が冷めたらエビを取り出し、背ワタをとって、縦半分に切っておく。とりあえず、これで準備オッケー。
さ、パスタ料理の始まりは、フライパンにオリーブオイルを引くことから始まります、これもいつもと一緒ですね。
にんにくは細かくみじん切りにしたものを、それから輪切りにした唐辛子を一緒に加え弱火でじっくり炒めていきます。
ここまではペペロンチーノと同じ工程になります。だいたい、ここまでは一緒。
香りがほのかに立ってきたら、みじん切り玉ねぎを加えましょう。
そしたら、ここにエビの頭をぶっこんで、木べらなどで崩しながら中の味噌を溶かし出す、感じです。濾過するような、ふふふ。
こんな風に、ぐいぐいと押しつぶしていきます、と中身がにじみ出てくるわけです。
これがこのパスタのすべての旨味の元になるんですな。
これがダシ!
ここに、白ワインを加えてアルコール分を飛ばし、トマトペースト、プチトマト、水を加えたら蓋をして、少し煮込みます。
どのくらいかな、30分くらいも煮込めばいいかな、・・・。
有頭部分からもですが、もちろん、殻からもダシが出てきます。
あますところなく中身を引き出すというわけだけど、海の味がそのままパスタの中に浸透していくんですよ。
美味しくないわけがない。
みんな、海老の一番大事なところを捨てていたわけです。

30分ほど煮込んでエビから出汁がよく出たら、一度、エビの頭部を全部ザルなどに取り出し、もう一度、木べらでエビの頭をギュッとギュギュッと潰して、残っている最後の出汁まで絞り出します。
だって、もったいないからね。
しゃぶって舐めたいくらいに、ここがうまいんだから、最後の最後まで全部絞り出して、ただの抜け殻にしてやるのであります。
そしたら、そのダシ汁を鍋に戻し、そこに生クリームを加え、さらに弱火で温め、最後にギュッとレモンを絞る。


パスタを少し硬めに茹で、茹で上がったらソースの中にパスタを投入し、少し煮込むような感じでソースを絡ませていきます。
ここで、茹でた海老の身の登場になるわけです。
でも、はっきり言うと、海老の身はもはやスターじゃないんです。
スターは海老の味噌。
この海老の身は絡まったソースをさらに美味しくさせる触感に過ぎない。
いや、ちょっと言い過ぎたけど、頭と体のコラボってわけです。
じゃあ、いいですか、茹でたエビを加えたら、海老が温まるくらい火を入れ、塩胡椒で味を整え、仕上げにオリーブオイルを回しがけして、ほら、完成。
余計なものは一切入れず、海老の出汁だけで作るパスタなんだけど、これこそが本場イタリアの味だと思います。
ボナペティ!!!!

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
「歌う詩人」、アレンジが完成しました。全9曲ですね。これが、予定では、最新フルアルバムになって、こっそりと世に出せたらいいな、と思っています。
どこかで、レコーディングをすることになりそうで、現在、ジョン・礒江氏と話し合っています。ジョンは長年のぼくの右腕で、ZAMZAからの付き合いです。
音楽は本当に好きなことを追求することだけを目標にしているので、宣伝とか、大規模コンサートとか、そういうのはやりませんし、辻仁成ではないので、ザンク・サンジェルマンⅡ、として、新たな人生がスタートする感じです。
これが、いいんですよ。新しい世界で、ほぼ新曲ですからね。ま、今までの音楽とは全然違います。早く聞いてもらいたいですが、ベースのホセ、パーカッションのASKとジョンをいれた4人で、やりとりをしています。「夢幻泡影」という曲があるんですが、まさに、個展「鏡花水月」の世界です。「悠久」という曲も、そうですが、今回の個展と精神的にはリンクしております。泡のようなこの世界の、もののあわれ、を歌にした古代からの声ですね。笑。
サンジェルマン伯爵の今後の活動にご期待ください。
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ということで、まもなく、日本ですが、なんといっても、メインは8月5日から11日までの三越日本橋本店、辻仁成展「鏡花水月」が、メインイベントになります。三越、6階を美術館に変えてしまうわけですから、ふふふ。たぶん、芸術新潮に小さなインタビューが出るはずですが、あれ? いつだったっけ、ゴメス、教えてください!!!



Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



