PANORAMA STORIES

私とジョニーのバルセロナ生活 Posted on 2017/02/05 林 真弓 通訳・ガイド・イベントコーディネーター バルセロナ

朝起きてカーテンを開け、バルコニーに出る。
今日も真っ青な空、日本ではまず見られないような、コバルトブルーの空が待っていた。

今日も晴れなのね。2週間連続くらいじゃない?
この空を見るだけで幸せな気分になる。人間って単純なのだ。
 

私とジョニーのバルセロナ生活

10年近く住んだイタリア、ベネチアを後にし、バルセロナに移ってきたのは5年前。
ベネチアで知り合ったイギリス人の夫ジョニーの転勤によるものだった。
転勤を迷うジョニーに、「バルセロナ? 行くに決まってるじゃん!!」と、私は彼の背中を強く押した。
私たちはすぐにバルセロナの魅力に取りつかれ、今では2人して永住を決め込んでいる。

ジョニーがバルセロナで最初に買ったのがスクーターだった。
何しろベネチアでは移動手段が船か徒歩のみの生活だったから、バイクに乗るのが夢だったらしい。
バイクを愛しているのはジョニーだけではない。
バルセロナは都市の中でも、人口に対するバイクの数がヨーロッパ1なのだ。
あの『ローマの休日』のローマさえ超えている。
 

私とジョニーのバルセロナ生活

そして私は自転車! Bicing(ビシング)という市民専用のレンタサイクルサービスがあり、それをとことん利用している。年間約50ユーロ(日本円で6000円程度)の会員費を払えば、あとは無料で好きなだけ使える。
バルセロナはこの自転車サービスを欧州内でもいち早く導入し、現在の会員数は12万人! 
バルセロナの街で赤と白の自転車を見かけたら、それがビシング。 
青空の下、プラタナスの木陰やモデルニズム(カタルーニャ風アールヌーボー)のアートな建物の間を走るだけで、気分も上がる。

バルセロナは地中海がエアコンのような役割をしてくれるので、冬は暖かく、夏は涼しい。
真冬の1月でも、お天気のいい日は気温が19℃ということも! 
ジョニーに言わせると、「これってイギリスの夏の気候だよ」
 

私とジョニーのバルセロナ生活

私たちが住んでいるのは、Eixample(アシャンプラ)と呼ばれる新市街。
壁に囲まれた小さな街だったバルセロナが、人口増加で手狭になったため、19世紀後半、その壁を壊し拡張された地域だ。ここが、当時の建築家、ガウディやムンタネールの活躍する舞台となった。

当時のブルジョワたちが競って美しい建物を依頼したおかげでバルセロナの今の街並みがある。
「板チョコ」とも呼ばれるアシャンプラは、一辺130mほどのきれいな碁盤の目のように区画整備されている。
その縦の線が、海岸線に対し垂直になっているので、暑い夏も海からの風が通って気持ちいい。
 

私とジョニーのバルセロナ生活

そんな気候もあってか、人も明るくて優しい。
引っ越したばかりの頃は、本当に驚いた。同じ建物の住人も、近所の八百屋さんも、テレフォンアシスタントのお姉さんだって、スペイン語が片言な私たちを急かさず待ってくれる。
バルセロナの住人の6人に1人が外国人らしく、下手なスペイン語の相手に慣れてるのかな、なんて思ったりもしたけれど、やっぱりそれだけじゃない。

長く暮らしていくうちに、海に面したバルセロナが貿易によって国際的に発展したという歴史が見えてきた。
バルセロナ人の優しさ、強さ、ソリダリティー(連帯)、大らかさ・・・。
彼らの気質は、文化や伝統にちゃんと裏打ちされたものなのだ。
人種差別がないというか、人種自体あまり気にしていないのかも。
 

私とジョニーのバルセロナ生活

夕焼けの光の中、家の近くのシウタデリャ公園でCafé con leche(ミルクコーヒー)をすすりながら、老若男女、いろんな肌や髪の色の人たちが、楽しそうに散歩したり、音楽を奏でたりするのを眺めていると、なんだかバルセロナの魅力の答えがそこに凝縮されているような気がしてくる。

市役所の正面に大きく掲げられていた「Refugees Welcome(難民歓迎)」の横断幕が、ふと頭をよぎる。
今、世界中で大きく問題になっていることの答えもここにあるのかもしれない。

私とジョニーは、この街でおじいちゃんとおばあちゃんになれたら幸せだ。
 

Posted by 林 真弓

林 真弓

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Mayumi Hayashi
通訳は主に英日だが、使用可能言語は、日、英、伊、西、仏。
オーストラリア、キャンベラ大学で応用言語学の修士号を取得したのち、地元岡山の大学にて英語非常勤講師。英語以外の言語を学びたくなり、32歳でフランス、トゥールーズに語学留学。その後イタリア、ベネチアで約9年の滞在を経て、現在バルセロナ在住。イタリアで知り合ったイギリス人の夫とスペインに住む、という??な、でもある意味非常に欧州的な状況を楽しむ毎日である。