PANORAMA STORIES

トンネルの向こうの新しい日常 Posted on 2020/05/03 林 真弓 通訳・ガイド・イベントコーディネーター バルセロナ

スペイン全土が外出制限生活に入ってから49日目。
始めは2週間と言われていたロックダウンが早1か月半を越えた。普通では考えられないようなこの生活にも次第に慣れてくるから不思議だ。曜日も祝日も全く関係ない生活。1m以内で会えるのは夫だけの生活。毎夜8時、近所の人たちとバルコニー越しに交流をする生活。医療従事者への拍手の合間に近況報告だ。買い物のためだけの外出。排気ガスが減って街路樹の葉はいつもよりずっと鮮やかな緑をしている。飛行機雲の筋が全くついていない青い空もバルセロナでは異常。

トンネルの向こうの新しい日常



新型コロナウイルス感染者数と死亡者数を毎日チェックする生活。一日で千人近くの死亡者に達した4月2日をピークにグラフは右肩下がり、昨日の死者は276人まで減少した。ロックダウン自体は5月10日まで延長されたのだけれど、感染者、死亡者数の減少に合わせて、少しずつ制限を緩めていく、段階的解除の道筋が発表された。

既に先週の日曜日から、子供の外出が許可された。一日に1時間、家族の大人1人と一緒になら外出しても良し。意外なことにこれが街の景色をガラリと変えた。厳戒なロックダウン中のあの異様な世紀末感は街から子供の姿が消えていたせいもあったのだ。子どもの姿を目にするのがこんなにも癒しになるとは思いもしなかった。花や動物に癒されていたのとは訳が違う。外で思いっきり遊びたい年頃の子供たちが家の中に閉じ込められて今までどんな気持ちだったんだろう。マスクをしながらも、自転車やローラースケートに乗って嬉しそうだ。この一見不条理な現実をどこまで理解しているのだろう。

トンネルの向こうの新しい日常

そして今日からは自宅から1キロ以内という条件付きで散歩、運動が許されるようになった。年齢別に時間制で、内容は以下の通り。
6-10amと8-11pm: 14歳~69歳
10 am -正午と7-8pm:70歳以上と介護者
正午-7pm:大人に付き添われた14歳以下の子供
そして月曜日、5月4日からはレストラン、カフェがオープンして良し。ただしテイクアウトのみ。書店、金具店、美容院等もオープンして良いがすべて予約制。公共交通機関を利用する人はマスク着用が義務付けられる。ここまでがフェーズ0。

トンネルの向こうの新しい日常

フェーズ1ではテラス席ならレストランで食事OK。ただし収容人数3割のキャパシティーにて。普段よりもテラス席の面積を増やすことが認められる。ホテルも公共エリアはクローズした状態で営業可能。ショッピングモール以外の店舗はキャパ3割で営業可能。客と客の間隔は2m確保が義務。

フェーズ2では屋内のテーブルサービスOK。収容人数3割のキャパシティーにて。ホテルは公共エリアのキャパ1/3で利用可能。ショッピングモールはキャパ4割で営業可能。

フェーズ3ではレストラン屋内外とも5割のキャパシティー。各種店舗、ショッピングモールも同様。立ち飲みバルもOKだが客と客との間隔は1.5m以上確保。ホテルは公共エリアのキャパ5割で利用可能。

上記の他にも映画館や美術館、市民の移動範囲等フェーズ1から3にかけて細かく示されている。何となくトンネルの向こうが見えてきた感じだ。

トンネルの向こうの新しい日常

因みにサーフィンはフェーズ0から大丈夫だが、ビーチで日光浴はフェーズ3までだめ。友人に会えるようになるのは少人数でフェーズ1、大人数でフェーズ2。

これからはフェーズの数字が上がるのを楽しみにする日常になるのだろうか。既に夫は今朝の散歩時に、「昨日までの静かな街が良かったなぁ」なんて言っている。このロックダウンの日々がまるで無かったことのように感じられる日が来るのか。それともビフォア・コロナの世界にはもう2度と戻らないのか。どちらにしてもこの異常な生活の中で気付かされたことがたくさんある。それを忘れないでいたいものだ。まずはバルコニー越しに知り合った近所の人たちを家に招待しよう。そして食事を多めに作って一人暮らしの80歳の隣人に届ける習慣をできるだけ存続させよう。

トンネルの向こうの新しい日常



Posted by 林 真弓

林 真弓

▷記事一覧

Mayumi Hayashi
通訳は主に英日だが、使用可能言語は、日、英、伊、西、仏。
オーストラリア、キャンベラ大学で応用言語学の修士号を取得したのち、地元岡山の大学にて英語非常勤講師。英語以外の言語を学びたくなり、32歳でフランス、トゥールーズに語学留学。その後イタリア、ベネチアで約9年の滞在を経て、現在バルセロナ在住。イタリアで知り合ったイギリス人の夫とスペインに住む、という??な、でもある意味非常に欧州的な状況を楽しむ毎日である。