ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「こっそり手抜き飯料理術」 Posted on 2026/07/01 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
昨日のサッカーの応援疲れで、今日は今一つエンジンがかかりませんが、相談が届いておりますので、気分をかえるためにも、真剣にお答えしたいと思います!
えいえいおー。

匿名希望Mさん
「子供はいませんが、夫がいます。私も少し働いていますが、料理担当はなぜか、私です。夫は料理がまるでできませんし、外食というのも財布との兼ね合いもありまして、そうそう出かけられません。料理が私も得意じゃないんですが、私なりに凄ーく考えて美味しいものを作ろうとはしています。でも、私が作るのが当たり前になりつつあり、夫は、ただ食べるだけで、時々、これか、みたいなことを言うので、頭にきています。そのことを相談しても、夫婦の問題なので、辻さんに失礼ですよね。ですから、夫に気づかれないで、手抜きを上手にする方法をアドバイス頂けないか、という相談をしたいと思います。私もちょっとは忙しいので、本格的には出来ないのが現実です。でも、美味しくて、身体にそんなに悪くなく、こっそりと手抜きできる方法、おしえてください」

辻村相談窓口、「こっそり手抜き飯料理術」

※ これは、父ちゃんの夕飯ですが、サーモンは、冷凍です。これをジップロックにいれて、塩と水をいれ、冷蔵庫で一晩自然な感じで塩気をうつして、塩じゃけ風にして、頂きます。冷凍のサーモンはかなり安くかえるし、フランスでシャケは買えませんから、苦肉の策ですが、美味いですよー。定食屋さんの850円の定食みたいでしょ? 笑。



おこたえしまーす。

「実に切実なご相談で、おくさまの気持ちを考えると、ぼくが乗り込んで、ご主人をさばおりにしてやりたいですが(さばおりとはプロレスの技)、これはもちろん、冗談です。気持ちだけ、応援者がいると思って、まずは、腐らないでください。ぼくもシングルファザーをやっていた時とかにですね、息子に料理を出すじゃないですか、すると息子があきらかに、またか、という顔をすることもたまーに、あったんです。あの子はいい子だから、不服を口にしたことはありませんが、やっぱね、「あ、こやつ、喜んでないな。やっぱ、これあかんか」と気づくことはありました。こっちも仕事をしていて、忙しいのに、なんで、一日中、食事のことを考えないとならないんだ、と腹も立ちましたよ。そのせいで、仕事が出来ないこともありました。だって、買い物にも行かないとならないじゃないですか。食材って、けっこう重いじゃないですか。もうずっとやってきたから、奥様方のご苦労わかります。献立も考えないとならない。主夫(主婦)に休日ないですからね。残業手当もないし、酷い扱いですわ。まだ、ご主人だから、不平をいって暴れたら、多少はわかってもらえるかもしれない。でも、10歳の男の子に、毎日、カップラーメンじゃかわいそうですからね。子供は大人になるまで親が面倒を見るのが当然ですので、ぼくもそこは頑張りました。でも、「またか」みたいな顔されると、かっちーん、としたことはままあります。笑。でも、うちの子はいい子なので、米粒一つ残さず食べてはくれましたし、最後に必ず、「ごちそうさま。おいしかった」と言いました。その「ごちそうさま」って、ぼくが教えたわけじゃないんですが、彼は今でも、必ず「ごちそうさま」を言いますし、米粒は残しません。「農家の人が一年かけてつくったお米を残せない」と言ってました。息子自慢のようで恐縮ですが、笑、そこはね、いい子で、救われておりました。ただ、身体がきつい時とか、自分が病気になった時とか、胃潰瘍のようなものになったことがありました。たぶん、精神的な問題でなったんだと思いますが、料理をするのが苦痛でした。その上、小説が佳境に入ると、料理をまともにするのもままならないですものね。奥さん、ぼくからの提案ですが、一番のベストは、週に一度は「外食の日」を決めてください。土曜日の夜と日曜日の昼を「外食」にするだけで、楽になります。ぼくは息子と話し合い、「ユバーイーツの日」と「外食の日」を決めてました。さて、ぼくからのアドバイスですが、奥さん、冷凍食材を多用しましょう。冷凍食品は組み合わせで、様々なバリエーションが出来ますよ。ライス系、麺系をベースにして、その上に載せる野菜、魚、肉、フライもの、さらに全体にかけるソース系、(こういうのは缶詰でもいいです)、これらを組み合わせることで、見た目にも美味しそうなものを短時間で作ることが出来ます。あと、自分で作り置きしておく手もあります。クリーム系のソースとか、トマト系のソースとか、を小分けして冷凍しておく。それをたとえばですが、茹でたスパゲッティをお皿に盛り、上に魚フライとかを載せ、その上から、解凍したトマトソースをかけるとか・・・、ほーら、いいじゃないですか? パセリとかも冷凍があるので、袋単位でかっといて、そこからつまんで取り出しふりかければいいんですよ。下を、ピラフにして、コロッケ載せて、クリーム系のソースかける、とかね。白ごはんに、冷凍バーグ、トマトソースとかね、ほら、いいんじゃないですか? 真空パックご飯、冷凍のカツレツ、その上からカレーとか、ほーらね? これでいいんじゃないですか? ご主人の健康を考えても、冷凍は意外と安全なんですよ。作ってすぐに冷凍だから、魚とかも新鮮で、ぼくは解凍したマグロとかは、一応、安全を考え深めに火を入れでも中は生っぽくタタキにして、半生みたいな感じですかね、で、食べています。(これは日本のメーカーさんに要確認ね)薄くカットして、オリーブオイルかけて、バルサミコでもちょっと垂らしたら、ほーらね、カルパッチョじゃないですか? 冷凍は使えますよ。で、冬はね、煮込みをこれに加えてください。そうすれば、バリエーション増えますよね。二日目の煮込みは安全のため冷蔵庫に一度いれて、翌日、もう一度煮込めば、二日分持ちます。手抜きでも、これだと頑張って作ってるな、と思われると思います。ご主人もがんばっているんだから、上手に騙してあげてください。そして、奥さんも少し楽になった方がいいですよ。で、美味しい外食に連れて行ってもらってくださいね。えいえいおー」

辻村相談窓口、「こっそり手抜き飯料理術」

※ このパスタなんか、茹でたものを、ソースで絡めただけ!!!



父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
ノルマンディは、もう、寒くなりました。ジャケット羽織ってないと肌寒い感じです。やっと落ち着いた感じですね。でも、来週また熱波が来るようです。来るなよ。
父ちゃんの美術サイトに、新しい絵が加わりました。
そうそう、なんかね、7月1日発売で、ECHOESのシングルコレクションというアルバムが、再リリースされたみたいです。へーこんなのあったんだ、と驚く、父ちゃん。いまだに、最リリーズされてるって、すごいことですよね。ありがとうございます。
今日は息子君から、「パパが作ったラーメンの写真見せて」とメッセージがきたので、一風堂イベントの時のポルケッターメンの写真を送りました。なんで、と訊いたら、ガールフレンド君のご両親に見せるんだとか、笑。なんでか知らないですが、彼にはいま、素晴らしい居場所があるようですね。、見守っておきましょう。

リヨン・ビエンナーレ2026 公式連携プログラム『Résonance』に正式参加した個展に出展される作品が、父ちゃんの美術サイトに登場しました。※ Official Résonance programme of the 18th Lyon Biennale – Contemporary Art
リヨンの個展は、11月5日から22日まです。
10月22日から25日は、パリ、コンコルド広場で行われるモダンアートフェアに参加します。11作品。
そして、まもなく、8月5日から11日まで、三越日本橋本店、特選画廊で、辻仁成展「鏡花水月」開催いたします。一週間だけの美術館仕様ですので、ぜひ、楽しんでください。
えいえいおー。

辻村相談窓口、「こっそり手抜き飯料理術」

辻仁成 Art Gallery
帝京×パリ・オンラインアートカレッジ