ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「生きるか死ぬか」 Posted on 2026/06/16 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
さて、さっそくですが、相談窓口を開く時間となりました。
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匿名希望Vさん
「辻さん、最近、なんとなく、めんどうくさくなって死にたくなることが多いんです。でも、もちろん、死ぬことが出来るわけでもないので、また仕方なく生きるんですが、死にたくなったり、生きようと思い直して再びがんばったり、繰り返しています。死にたくなる漠然とした理由としまして、人生ってやり直せないので、ともかく思い出すと悲しくなる、後悔がたくさんありすぎるということでしょうか。恋愛とか、仕事とか、いろいろ。あと、よくいじめのようなものを受けるんですが、陰湿で、それが悔しくてならないんです。でも、やり返すだけの力もないので、そういうのがチリと積もって、死にたくなります。甘えているんでしょうが、ぜひ、気合をいれてください」

おこたえしまーす。
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「まず、はっきりと言えることがあなたの場合ありますね。ものすごくはっきりしていることです。ご相談の文章の中で、死にたくなる動機としてあげられている『後悔』と『悔しさ』ですけれど、これは、生きようとする裏エネルギーみたいなもんなんですよね、実は・・・。後悔をして苦しいというのは、なんとか後悔のない人生を生きたいという願望の裏返しなんだと思います。二度と後悔しないように生きなきゃという想いが、過去を強く否定する結果じゃないか、と思います。悔しい、という感情も「なにくそ」という負けん気の結果、出てきた感情なので、これも「悔しい~、悔しい~ぞー」という嘆きは、逆に、生きる勢いの一部ということなんですよ、実は。そこに気が付いてくださいよ。あなたの死にたいに説得力がぜんぜんないのは、そういう理由なんです。ものすごくチャンスがあるじゃないですか、それをバネに生きたりましょうよ。えいえいおー。
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ということで、ついでなので、ぼくのことを話しますが、ぼくは子供のころから今でもずっと嫌われ者でした。マジで、鼻につくんだと思います。それで、よくいじめられたものです。大人になって、創作を始めてからも、なんか、先輩と称する方々から、目の仇にされてきました。これも前に書いたことですけれど、そういうのぼくにとってはものすごくエネルギーになるんです。負けん気が強かったんです、子供のころから。人一倍生意気でしたから、どこに行っても叩かれていましたし、デビューしてからはもっといばらの道でございました。とくに、男性からしつこいいじめを受けましたね、笑。原因は、ぼくがこういう性格で、実際、超生意気だからでしょうね。そういう時、悔しいなー、と思うことは多かったですが、「今に見とけよ」と自分に言い聞かせ、反論とか、喧嘩はしないで、もくもくと創作に精を出してきたんです。結論から言いますが、言い合いをしても結果は出ないです。自分の道を究めてはじめて結論が出ます。どういう結論かというと、勝ち負けではなく、ある日、その連中が眼中から消え去っています。過去を振り返って、「そんな時代もあったよね」と笑えるのは、もうその苦しみを突破している証拠なのです。ぼくを叩いていた人たちはもういません。ま、またいつか、違うのが出現するでしょうが、そこは勝負するところじゃない、ということです。でもね、思うだけで何にもやらないならもっとだめですよ。人一倍努力をしていると、そういう『後悔』や『悔しさ』は昔日のカサブタのようになって、カサブタですから、いつか、自然ととれて、消えてなくなっているもんです。だから、一生懸命、生きてくださいね。おまけです、えいえいおー」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
海のシーズンが始まっていて、海開きじゃないんですが、(ノルマンディの海は年中無休)、キャビンと言われる小さな海の小屋が並ぶんです。これを地元の人が夏の間レンタルして、ここに、海水道具、サーフボードなんかをいれておきます。なので、その小屋が立ち、大活躍しはじめると、もう、夏真っ盛りやねー、という感じになります。今ですね、ノルマンディの夏!

だんだん個展、近づいてきましたね。過去最大規模の個展になります。なんたって、三越日本橋本店、で一番大きな双子の画廊を、全面使っておこなう個展でして、前回の個展の4倍ほどの広さになります。美術館のようなスタイルでやるので、ここは見逃さないでくださいね。この日のために、一年間、コツコツと創作をしてきたのですから、笑。8月5日から11日まで、三越日本橋本店、特選画廊、辻仁成展「鏡花水月」。
さて、欧州でも、活気が出ています。10月22日から25日、パリ、コンコルド広場、シャンゼリゼのお通りの突き当り、ルーブルまではいきませんが、大きな広場があるでしょ? コンコルド広場、あそこに、特設会場が設営されるんですよ。モダン・アートフェアに出展します!
11月5日より、リヨン市で個展。先日、第18回リヨンビエンナーレに公式参加が決定しましたよね。熱血ギャラリストのマリーさんが、いろいろと計画中です。何が起こるのか、ワクワク。
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