ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「仲間外れ」 Posted on 2026/07/24 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
さっそく、相談窓口、開店いたします。
今日は、少し若い人からのご相談です。

匿名希望Zさん
「はじめまして、母が辻さんのファンで、その影響もあり、時々、このサイト、読んでいましたが、相談窓口がぼくに必要なタイミングだと思い、母には内緒で、相談です。この投稿、母は知りません。僕は大学生なんですが、学校でうまくいきません。ま、高校の時からうまくいかないので、きっと僕に責任があるんだろうな、とは思っていますが、浮くんです。仲間外れというほどじゃないですが、キャンパスの中で心が通じる人がいません。まだ、一年生なんですけれど、大学をやめたいんです。でも、やめて違う学校に行っても、この感じは消えない気がします。別に、答えを知りたいわけじゃないんですけれど、いろんな人生を生きて来られた、辻さんがどう思うか、ちょっときいてみたいのです。母も読んでいると思いますが、まさか、ぼくのこととは思わないでしょうね。匿名はZでお願いします」

辻村相談窓口、「仲間外れ」



おこたえしまーす。

「ここでいつも書いているように、ぼくは子供の頃かなり浮いていました。大学生の時も、浮いていましたし、今も、かなり、浮いている方だと思います。小学校の時に、「Xの手紙」というのがあって、今はないかもしれませんが、倫理の時間とか、ホームルームの時間に、クラスメイトの名前が書かれた紙が配られるんです。ま、先生がシャッフルして、それをみんながくじ引きみたいに順番にひいて、その人に関して、匿名で何かを書くというルール。だいたい、一時間かけて、その人のことを書き、授業の終わりに、その手紙が本人に再配布されます。誰が書いたか、もちろん、分からない仕組みで、実にくだらない授業でした。たぶん、もう今の時代はさすがにそういう個人攻撃的な授業はないんじゃないか、と思うんですが、ぼくが小学生、中学生の頃はまだありました。「Xへの手紙」という恐ろしいゲームで、毎回、ぼくのところに来る「辻君って、すごく変わってる」というメッセージに、真空を、覚えてました。だいたい、2,3行なんですよね、1時間もかけて・・・。ぼくは1時間かけて、誰かのことをちゃんと分析して、いいことを中心に書いたというのに、ぼくのところに来る手紙というのは、「めっちゃ変わってる」とか「よくわかない人」みたいな、せめて、何かいいことあるだろ、とは思うんですが、あはは、ないんでしょうね・・・。この授業がいやでいやでしょうがなかったです。帯広の小中の頃の思い出で、なんでかな、と悩んだ記憶があります。函館に引っ越してから、やはり同じようなことがあって、どこに言っても、なんか、浮いているんだな、と思ってしまいました。でも、大人になっても、女性週刊誌とか、一部のSNSとか、ま、いろいろ書かれていますが、酷いものですよ。

結論を言いますと、気にすることじゃない、と思います。は? それが答え? と思われるかもしれませんが、高度一万メートル上空からこの地点を見てる感じでちょっと考えてほしいんですが、そんなの、一切関係ないですよ。「辻君って、本当にいい人で、優しくて、素敵です」って、言われないだけです。だって、みんなと違うのあたりまえじゃないですか?「辻君って、変な人」と書かれた手紙を読んだ時、これがみんなの本心か、なるほど、といい勉強にはなりました。笑。無理してこういう場所で、自分を偽るより、変わり者と言われて自分らしくてしてるくらいでちょうどいいんじゃないか、と思いました。それに、自分を曲げて生きる必要なんかないんだ、って気が付けたのはラッキーでした。今も、社会にあんまり適応は出来ていませんが、ぼくにしか出来ない「ぼく」を生きています。ご存じのように敵もめっちゃ多いですけれど、その分、味方もいます。意外と味方いるんですよ。あれだけ、バカにされてきましたけれど、コンサートをやればいっぱい人が、チケット買って見に来てくれます。それはぼくが有名だから来るんじゃないんですよ。その人たちは、自分らしく生きているぼくに共感してくれているから、来るんです。ぼくもその方々をお客さんとか思ってもないです。無理して、みんなに好かれる辻仁成を演じることはしません。だから、ライブのMCとか素が出過ぎて、恐ろしいです。ま、今後も、敵とか女性週刊誌とかにバカにされると思うんですが、自分では、自分らしさを守っているので、気にならないです。関係ないんです。ぼくを否定する人とは関わることはないですからね。ぼくがあなたに言えるのは、別に味方を探す必要もないし、あわない人たちにあわせて生きる必要もない、ということだけです。着たくない服は着ないでいい。あなたはあなたのままでいい。そして、ただ、思う存分、生きてほしい。そして、誰にも何も言わせないくらい自分の宇宙を作ればいいんですよ。ぼくね、30代、40代の頃のアンチの多くは、みんな年齢的にも弱くなり、消えつつありまして、今は見晴らしがいいです。マジですよ。持ちこたえたぼくはかなり元気で、消え失せるつもりはありません。笑。ぼくはどんな時も、ぜったいに挫けないと決意して生きてきたので、負けてないです。負けるっていうのは、自分が挫けた時に、ダメだ、と思って人は負けるだけですから。Zくん、そのままでいいですよ。ぼくから、とくにアドバイスはないです。お母さんへの気遣い、素晴らしいです。世のお母さん方へ、みんないいところを持って生きているので、心配しないでいいですよ。こういう特に匿名性を大事にされたい方はみな、Z、とさせてもらいます。えいえおー」

辻村相談窓口、「仲間外れ」



父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
なんか、ECHOESのベストシングルアルバムが、やはり、発売になるみたい、なったのかな・・・。サンプルが本日、ソニーレコードさんから届きました。2700円だそうで、なんだか、不思議ですけれど、この時代のぼくって、もっとも変な青年で、ま、この頃からよく叩かれてました。超浮いている青年辻が作った歌はやはり変ですし、不思議ですね、アンチばっかりだったのに、いまだに、CDが出るんだもの。アンチのアンチって、ありがたいね。負けないように、ぼく頑張ります。

ええと、まもなく、個展です。個人的には、かなり大きな規模の個展で、輸送がね、大変なので、これで最後かもしれません。ぜひ、見に来てやってください。8月5日から11日まで、三越日本橋本店、6階、特選画廊全面で、辻仁成展「鏡花水月」、開催いたします。涼しい景色が広がる個展なので、どうぞ、涼みにいらしてください。ノルマンディで創作した世界が広がってます。Zくんはお母さんと、ぜひ。詳しくは三越画廊に問い合わせください。なんか、問い合わせ頂いているみたいで、すいません。どうぞ、どうぞ、ご自愛くださいませ。

辻村相談窓口、「仲間外れ」

※ 青春の音楽ですね。今,聴くと、まっすぐすぎて、恥ずかしい。青い果実です。

辻村相談窓口、「仲間外れ」

辻仁成 Art Gallery

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