PANORAMA STORIES
毎日が勝負飯、「弁当」 Posted on 2026/03/13 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
ぼくが父ちゃんとして生きた時代、息子が小学生から大学に入るまでのあの時代、ぼくは周囲に「父ちゃん」と言われてました。今もまだその名残で、東京の行きつけの居酒屋に顔を出すと、
「あ、父ちゃん来た」
と店主に言われます。常連さんたちも、「父ちゃん、いる」という感じで、接してくださいます。
ぼくがSNSに息子のためのお弁当写真を投稿していたからでしょうか。
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だからか、たまに、あの時代に戻りたくなって、もう息子は一緒に暮らしていないんですが、お弁当を作ることがあります。
まさに、今日は、そういう日でした。
たまたま、冷蔵庫を覗いたら、肉や、魚や、おしんこ、などが中途半端にちょっとずつ残っていたので、それらをかき集め、調理しまして、弁当箱に詰めてみました。
これはべつにお皿でもいいんですけれど、お皿だとただのプレート定食になってしまいます。
思い出の弁当箱が戸棚にはいくかありまして、それを引っ張り出し、ちょっと洗って、そこに料理を詰めていったら、あら不思議、じわっと心が温かくなりましたよ。
弁当箱、それは日本の心ですな。

ちょっと、辻弁当、説明をさせてもらいます。
手前、左のがレンコンのピリ辛きんぴらになります。その横の白いのが、たくわん、です。
カリカリ梅がありまして、その横が、塩鮭です。シャケが(たぶん)フランスにはないので、サーモンを塩漬けしたものです。
その上のが、肉です。たたきにしています。
トマト、卵焼き、という感じですが、シャケの下には、ご飯なんですが、海苔の下にはでんぶが入ってまして、これが、最高なんですわ。
し・あ・わ・せ!

「日々を丁寧に生きる」
が、父ちゃんのモットーですからね、まさに、お弁当の中には、残さずに食べきるという精神がつまっておりまして、だからこそ、幸福感が得られるのでございます。
弁当箱に詰めるのは、日本人的には「箱庭」のような美しさもあり、なかなか、ここまでの文化はよそではみられませんね。
ああ、美味しかった、と思わず手を合わせてお辞儀をしてしまうわけです。
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心配事ばかりの時代ですものね。イラン戦争のせいで、もしかすると、日本に帰れなくなるかもしれないな、とここ最近、気をもんでいます。夏の個展の作品も、郵送できるか、戦争が長引けばどうなるか不安ですし、郵送は絶対できるとフランス人はみんないいますが、輸送代が値上がりしそう、・・・いつも父ちゃん持ちなので、やっぱり、不安です。そういう時に、お弁当で心をなだめております。こういう箱庭の世界を大切に、生き抜いてまいりたいものですな。

※ ぼくのアパルトマンから見える夜景を、どうぞ、・・・。

同じお弁当ですが、シャケがメインで撮影をするのと、きんぴらをメインで撮影をするのじゃ、なぜか、雰囲気が異なるので、迷った挙句、両方、載せておきます。あはは。
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今日、金曜日は20時から、父ちゃん作「天下無双のポルケッターメン」のチケット発売スタートとなります。炙りポルケッタ―ハンもサイドディッシュでございます。笑。父ちゃんがここ数か月、開発苦心した新型欧風ラーメン一号ですので、新横浜のラーメン博物館で開催される「対麺」イベントでご試食できますので、どうぞ。400食、限定ですので、よろしくお願いします。詳しくは、こちらのHPから、どうぞ。
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https://note.com/preview/n140dda70d0e6?prev_access_key=dbd8f2a5eeaaee47588a0d7e01e2e747

その他のお知らせです。
父ちゃんのアートサイト、トップの新作画像が一新いたしましたよ。音楽付きになりました。曲は新曲で「孤独の泡」になります。
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https://tsuji-art.com
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大和書房から「父ちゃんの料理教室」文庫版。
3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。単行本。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月4日、小説「泡」、集英社。
10月、パリ、アートフェア出展。
11月5日から22日まで、リヨンでの個展。会場の住所や、画廊連絡先については、また後日、ここで発表させていただきます。
11月、7か8日、パリでのライブ、予定、現在交渉中。それにあわせたツアーをしげちゃんが計画中。
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そして、父ちゃんが校長をつとめる「帝京×パリ、オンラインアートカレッジ」のHPはこちらです。更新中です。
3月15日で、受講生、締め切りになります。
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Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。


