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パリ最新情報「パリ市、学生が輝く街の世界第8位に選ばれる!」 Posted on 2022/07/20 Design Stories  

 
2022年6月29日、パリ市が「学生が輝く都市」の世界第8位に選ばれた。
これはイギリスの大学評価機関、クレクアレリ・シモンズ(QS社)が毎年発表しているランキングで、評価対象は世界140都市にも及ぶ。
都市の文化的魅力、生活の質、大学のレベル、経済・交通の利便性などが総合的に判断され、卒業後に学生たちがその都市に留まるかどうかも対象になった。

ちなみに第1位となったのは、学生都市でもあるイギリス・ロンドン。
2位には韓国のソウル、ドイツのミュンヘンが並び、日本の東京はパリより一ランク上の7位であった。
フランス国内で見ると1位がパリで、2位にリヨン、3位にトゥールーズ、モンペリエと、いずれも学生の街で有名な都市がランクインしている。
 

パリ最新情報「パリ市、学生が輝く街の世界第8位に選ばれる!」



 
パリでは大学生がどう輝けるのか。
その答えはQS社が言及したように、「パリの歴史的・文化的魅力が、常に世界中の学生を惹きつけてやまない」というところにあるだろう。
実際にパリ市内には大小合わせて297館もの美術館・博物館があり、その数と質は世界一を誇っている。
また図書館のクオリティも高く、14世紀に設立されたパリのフランス国立図書館では学生や研究者に有用な専門図書を数多く取り揃えている。

さらなる特徴としては、パリで学ぶ大学生の「国際色豊か」な一面が挙げられるだろう。
今回のランキングでは、学生の多様性(国籍の多様性と人数の規模)が以前より上昇しており、パリの大学は一段と多国籍になっているそうだ。
これによって学生たちが良い刺激を受けることができ、フランス語以外の言語習得にも大いに役立つメリットがあるという。
 

パリ最新情報「パリ市、学生が輝く街の世界第8位に選ばれる!」

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またパリ市はこの度、雇用主がその都市の卒業生を探すかどうかを判断する「雇用主活動」でもスコアを獲得している。
これはつまり、仏人であるかどうかに関わらず、雇用側が新社会人に広く門戸を開放しているということになる。
卒業した後も学生たちがパリに留まり、そのまま就職を希望しているという観点で見れば、やはりパリが彼らにとって魅力的な街であることに違いはない。

もちろんフランスにおける就職活動は容易ではないが、フランスではスタージュ(インターン制度)も充実しており、学生のうちに社会のいろはを学べるシステムが整っているというのも事実だ。
 

パリ最新情報「パリ市、学生が輝く街の世界第8位に選ばれる!」



 
ただ生活費に関して言えば、パリは決して住みやすくはない。
その物価の高さがパリを8位に留めた理由でもあり、2021年の調べでは、大学生活に必要な金額は月平均1277ユーロ(約18万円、学費含む)にも上った。

大学によってまちまちではあるが、フランスの学費はイギリスやアメリカ、日本に比べてもはるかに安価である。
しかしパリに限っては家賃や食費が異常に高く、学生の住宅手当や安い学食などで生活費のやりくりを絶対的に工夫しなければならない。
そのためベビーシッターや夏休み期間のアルバイトなどは日本と同様、学生たちの間で盛んに行われている。

ただパリ市では、苦学生向けに食品を中心とした商品の無料配布を実施する団体もある。
大学生たちが自ら組織するパリのLinkee協会は、有効な学生証の提示により食品やシャンプーなどの生活雑貨を無料で配っている。
「若者に関心のない国は、発展の可能性をすべて腐らせてしまう」とLinkee協会の代表は語り、経済的に不安な学生、留学生をサポートする。

彼らが言うように、若者は今後のフランス文化・経済を支える重要な存在だ。
パリでは生活費の面で大変だと思うが、豊かな芸術と多様性のある人々に触れてどんどん輝いてほしい。(内)
 

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