PANORAMA STORIES

家庭フレンチの新しい定番を「フランスで注目される「抗炎症フード」を試してみる」 Posted on 2023/02/27 セギュール ちえみ(DS編集部) 料理好き パリ

「グルテンフリー」はもともとセリアック病(小麦などに含まれるグルテンに対する免疫反応)のための食事療法として生まれましたが、昨今「抗炎症フード」というワードも注目され始めています。
抗炎症とは炎症を抑えるという意味ですが、では、「炎症」とはどういうことなのでしょうか。

ウイルスが入って熱が出たり、捻挫をして腫れたり、火傷をして赤くなるのも炎症(急性炎症)ですが、私たちの体はそれ以外の時も、老廃物の排出などのために毎日自然に炎症(自然炎症)を起こしています。
例えば、体内に食べ物やウイルスが入ってくると、それらを抑制しようとして体の免疫システムが炎症反応を起こします。つぎに、私たちの体はその炎症を抑えようと抗炎症反応を起こす。これらの反応のバランスのおかげで私たちは健康を保っているのです。

問題なのは、必要以上に炎症が強く働きすぎたり、抗炎症反応がうまく働かなかったりしたとき。私たちの体内で「炎症」が悪さをし始めるのだそうです。これを「慢性炎症」と呼び、この慢性的な炎症には目に見える症状はありませんが、体重増加や糖尿病、関節炎、子宮内膜症、肌トラブル、うつ病、心疾患、乳がんなど、さまざまな不調、病気の原因になっていることが明らかになってきています。言い換えると、食生活を見直すことで、大きな病気から距離を置くことができるかも知れない。意識して損はない、ということなのです。(パリで活動する婦人科医 ボワン医師の説明による)
また、抗炎症の食習慣を推奨するカリエ医師は、体で慢性炎症が起こっている状態を、田んぼでの稲作に例え、水管理を怠れば水が淀んで稲は腐る、体の炎症も続けば病気になる、と説明しています。

地球カレッジ



食べ過ぎないことも大切ですが、ここで注目されはじめたのが抗炎症の食事法や食材。海外では「アンチ・インフラマトリー(炎症緩和)フード」として、特に若い女性の間で注目されてきています。慢性炎症は、肌荒れや子宮内膜症、乳がんなど、女性特有の病気に影響があると言われているので、女性は特に、いつもの食事に抗炎症フードを意識して、体の中のバランスを整えたいものです。

まず、抗炎症に良いものとして挙げられる代表的な食材は、ブルーベリー(生)、アボカド、ほうれん草、ナッツ類(特にアーモンド、くるみ、ピーカンナッツ、ピスタチオ)、サーディン、サーモン、トマト、ざくろ、キヌア、オリーブオイル、卵白、レモンなど。
ビタミンA、C、E、K、ポリフェノール、オメガ3、マンガン・・・
ただ良いものを並べられてもなかなかピンとこない人のために、「抗炎症」がテーマのレシピをご紹介いたしましょう。

家庭フレンチの新しい定番を「フランスで注目される「抗炎症フード」を試してみる」



<トマトとバジルのグルテンフリーパスタ>
抗炎症作用のあるトマトとバジル、コーンスターチでできたグルテンフリーパスタを使って、美味しい抗炎症トマトパスタを作りましょう。

材料は、トマト4つ、にんにく半かけ、オリーブオイル、白ワイン少々、バジル、グルテンフリーパスタ、塩胡椒。

フライパンで潰したニンニクをじっくり弱火でオリーブオイルに香りを移したら、ざっくりカットしたトマトを投入。塩をふり、白ワインを少し加え、アルコールが飛んだら蓋をし、10分くらいクツクツ煮ます。トマトが柔らかかくなったら皮を取り除き(火が入るとすっとむけます)、木べらなどでトマトをよく潰して、お好みでバジルを加え、中火でソースを煮詰め塩胡椒で味を整えます。茹で上がったパスタをソースの中に投入(お湯を切らず、お鍋から直接トングなどでパスタをソースの中に入れると少量の茹で汁も一緒に入るのでちょうど良い)。中火で火を入れながらソースをよく絡めてとろみがついたら完成。フレッシュなバジルを飾って召し上がれ。

ちなみに、炎症に良くないものとして一般的に挙げられるのは、砂糖、牛乳、精製炭水化物、加工肉など。どれも「美味しい」「食べたい」と感じるものばかりですが、これらの継続的な摂取は炎症を促してしまう確率が高いようです。
サプリや薬などに頼らず、毎日の食生活を意識することでちょっと体の中が健康になっていくならいいですよね。
上手にバランスをとり、制限を感じず満足できるレシピは意外とたくさんあります。抗炎症を意識したレシピ、またご紹介します。



自分流×帝京大学

Posted by セギュール ちえみ(DS編集部)

セギュール ちえみ(DS編集部)

▷記事一覧

パリ在住の料理好き。特にトラディショナルな料理に魅力を感じている。